2021
03.07
マンションにおける専有部分と共用部分
マンションは、区分所有者が共同してマンションという建物を共有している建物です。
この建物の中には、各区分所有者が所有権を行使して所有できる「専有部分」と専有部分以外の建物部分である「共用部分」があり、マンションはこの2つの部分が共存している建物という特徴を持っています。
マンションにおける専有部分とは
マンションにおける専有部分は、1つの建物のうち、構造上区分された独立した住居等の部分です。
構造上区分されているとは、隔壁、床、天井などで他の部分から隔離されていることで、通常は各住戸部分がそれに当たります。
その他、専有部分には利用上の独立性という側面もあり、例えば、マンションにおける廊下や階段、エレベーターなどは利用上の独立性は不能なので専有部分にはなりえません。
利用上の独立性があるための重要な判断要素には、直接外部に通じる出入口があることが大切になってきます。
例えば、隣室を通らなければ建物の外部に出られないようなマンションの部屋は、利用上の独立性を有していないことになります。
この場合は、隣室と一緒でなければ、専有部分とすることはできません。
マンションにおける共用部分
マンションにおける共用部分は、専有部分以外の建物の部分や専有部分に属さない付属の建物が対象になります。
ただ、専有部分の要件は満たしているが、区分所有者の定めた規約で共用部分と定めた規約共用部分もあります。
したがって、共用部分には法定共用部分と規約共用部分の2種類あることになります。
法定共用部分は、廊下、階段室、エレベーター室のように建物の構造上、区分所有者によって共用される部分になります。
これに対して、規約共用部分は元来専有部分となりえる部分を規約によって共用部分と定めた部分で、集会室や管理事務室等がこれに当たります。
なお、規約共用部分は登記をしておくことが対抗要件になってきますので注意が必要です。
専有部分か共用部分かの違い
マンションにおけるある部分が専有部分に相当するのか、共用部分に相当するのかの判断は、次の点が判断要素になってきます。
- 居室部分が大部分を占めるのか、それとも休憩室あるいはそれに近いか。
- 独立的な出入口を有するかどうか。
- 共用設備部分に簡単な補修工事を施すことによって、全体として居住専用の室にすることができるか、あるいは、そのままの状態でも居住専用の室として使用することが可能であるかどうか。
マンション標準管理規約(単棟型)による共用部分の範囲
1.エントランスホール、廊下、階段、エレベーターホール、エレベーター室、共用トイレ、屋上、
屋根、塔屋、ポンプ室、自家用電気室、機械室、受水槽室、高置水槽室、パイプスペース、メータ
ーボックス(給湯器ボイラー等の設備を除く。)、内外壁、界壁、床スラブ、床、天井、柱、基礎
部分、バルコニー等専有部分に属さない「建物の部分」
2.エレベーター設備、電気設備、給水設備、排水設備、消防・防災設備、インターネット通信設備、
テレビ共同受信設備、オートロック設備、宅配ボックス、避雷設備、集合郵便受箱、各種の配線配
管(給水管については、本管から各住戸メーターを含む部分、雑排水管及び汚水管については、配
管継手及び立て管)等専有部分に属さない「建物の附属物」
3.管理事務室、管理用倉庫、清掃員控室、集会室、トランクルーム、倉庫及びそれらの附属物